研究奨励賞

日本行政学会研究奨励賞について

2022年8月

日本行政学会は,優れた研究を表彰することにより研究活動の奨励を図ることを目的として,2020年度に研究奨励賞を創設いたしました.これまでに引き続き,2023年度も研究奨励賞の対象者の選考を行います.選考結果を学会ホームページで公表するとともに,受賞者には賞状を贈呈いたします.

なお,新型コロナウイルス感染症の状況により,オンラインなどでの開催となった場合には,2021年度および2022年度の選考を参考としつつ,選考の方式を変更する場合があります.受賞者の発表時期等については,改めて告知いたします.

分科会での報告とポスター双方を対象としますので,これを機に,積極的な応募がなされることを期待します.対象者は,以下の通りです.

1.部門

(1)分科会(公募報告および公募企画を含みます)における報告論文を中心とする分科会報告部門
(2)ポスターセッションにおけるポスターを対象とするポスター部門
なお,同一部門で既に受賞歴がある会員については,対象としないこととします.

2.対象者

(1)分科会報告部門
日本行政学会の個人会員で,次の①と②のいずれかに該当する者
①博士後期課程在学中の者
②博士の学位取得後,8年未満(なお,産前・産後の休暇,育児休業の期間は除いて計算する)経過の者

(2)ポスター部門
日本行政学会の個人会員である者

3.授賞数

毎年の研究大会につき,論文部門では一つを原則としますが,ポスター部門では複数の授賞も想定して選考を行います.なお,該当なしとすることがあり得ます.

4.審査の方法

企画委員会ないしは理事長が委嘱した委員が審査を行った結果に基づき,合議により原案を作成し,理事長による最終決定を行います.

分科会報告部門の審査の基準は,①主題の明晰さと新しさ,②研究手法の適切さ,③研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクト,の三点に基づくものとします.ポスター部門の審査の基準は,これら三点に,④その他ポスター賞の趣旨・目的に照らして評価すべきと審査委員会が認める基準を加えるものとします.

なお,分科会報告部門については,関連する既発表の論文等について別途自己申告を行っていただきます.

日本行政学会研究奨励賞について

2022年5月

2020年度より,日本行政学会は,優れた研究を表彰することにより研究活動の奨励を図ることを目的として,研究奨励賞を創設しましたが,2022年度も引き続き対象者への選考をします.選考結果を学会ホームページで公表するとともに,受賞者には賞状を贈呈いたします.なお,新型コロナウイルス感染症の状況により,オンラインなどでの開催となった場合には,2021年度の選考を参考としつつ,選考の方式を変更する場合があります。受賞者の発表時期と方法については,改めて告知いたします.

分科会での報告とポスター双方を対象としますので,これを機に,積極的な応募がなされることを期待します.対象者は,以下の通りで、これまでよりも広げています.

1.部門

(1)分科会(公募報告および公募企画を含みます)における報告論文を対象とする論文部門
(2)ポスターセッションにおけるポスターを対象とするポスター部門
なお,同一部門で既に受賞歴がある会員については,対象としないこととします.

2.対象者

(1)論文部門
日本行政学会の個人会員で,次の①と②のいずれかに該当する者
①博士後期課程在学中の者
②博士の学位取得後,8年未満(なお,産前・産後の休暇,育児休業の期間は除いて計算する)経過の者

(2)ポスター部門
日本行政学会の個人会員である者

3.授賞数

毎年の研究大会につき,論文部門では一つを原則としますが,ポスター部門では複数の授賞も想定して選考を行います。なお,該当なしとすることがあり得ます.

4.審査方法

企画委員会ないしは理事長が委嘱した委員が審査を行った結果に基づき,合議により原案を作成し,理事長による最終決定を行います.審査の基準は,①主題の明晰さと新しさ,②研究手法の適切さ,③研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクト,の三点に基づくものとします.

日本行政学会研究奨励賞の創設について

2019年7月

このたび,日本行政学会は,優れた研究を表彰することにより研究活動の奨励を図ることを目的として,研究奨励賞を創設することとします.受賞者には賞状を贈呈いたします. 公募による報告とポスターも対象となりますので,これを機に,積極的な応募がなされることを期待します.詳しい内容は,以下の通りです.

1.対象者

日本行政学会の個人会員で,次の(1)と(2)のいずれかに該当する者.
(1)博士後期課程在学中の者
(2)文部科学省・日本学術振興会の科学研究費助成事業における若手研究者に準ずる者,すなわち,博士後期課程単位取得退学,博士の学位取得,常勤研究職への就業,以上三つのいずれか最も早いものが発生して後,8年未満(なお,産前・産後の休暇,育児休業の期間は除いて計算する)経過の者

2.部門

分科会(公募報告および公募企画を含みます)における報告論文を対象とする論文部門
ポスターセッションにおけるポスターを対象とするポスター部門
なお,同一部門で既に受賞歴がある会員については,対象としないこととします.

3.授賞数

毎年の研究大会につき,各部門一つを原則とします.例外的に二つの授賞を行うことや, 該当なしとすることがあり得ます.

4.審査方法

企画委員会が審査を行った結果に基づき,合議により原案を作成し,理事長による最終決定を行います.審査の基準は,①主題の明晰さと新しさ,②研究手法の適切さ,③研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクト,の三点に基づくものとします.

各年度の受賞者

2024年度 研究奨励賞

論文部門

中澤柊子(東京大学)「児童養護行政における「協働」と現場の意思決定の変遷―ガバナンスの日本的文脈と行政の情報化のいま―」

2024年度日本行政学会研究会(2024年5月18日~5月19日、学習院大学で開催)における日本行政学会研究奨励賞(論文部門)について、中澤柊子会員(東京大学)に授与することといたしました。分科会での報告論文について、主題の明晰さと新しさ、研究手法の適切さ、研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクトの観点から厳正に審査しました。

中澤会員の報告「児童養護行政における「協働」と現場の意思決定の変遷-ガバナンスの日本的文脈と行政の情報化のいま-」は、日本における児童虐待防止に関連する政策の歴史的変遷を政府民間関係の観点から整理しつつ、この分野におけるAI の導入が現場レベルの意思決定に与える影響を分析したものです。本報告論文では、日本の児童養護行政において、民間部門が業務を引き受けても民間部門の強みを活かすパートナーシップ関係にならず、政府部門の負担軽減や少ないリソースの補完を目的とする下請けの役割を担ってきた点を歴史的経緯から丁寧に論じており、説得力がある点が評価されました。また、AIの導入が与える影響や課題を考察し、官民の下請け的「協働」関係がAIを導入した際にも生じ得るという負の影響と、それを回避するための政策的含意を明らかにした点は、高い新規性が認められ、学会賞に値すると評価されました。

ポスター部門

角 正美(大阪大学大学院)「地方政府における財政行動のパターン分析―「ベイルアウト期待行動理論」再考―」
松谷 昇蔵(東京大学・日本学術振興会特別研究員PD)「戦前期文部省の人事システム―文官高等試験下の疑似生え抜き官僚を中心に―」

日本行政学会では、2020年度研究会より、若手研究者の研究を奨励するため、学会奨励賞を創設し、2021年度研究会において初めてポスター部門での研究奨励賞を授与しました。2021年度までは一部門での授賞を原則として一人としていましたが、2022年度以降の研究会では、授賞対象の条件に若手であることを外し、複数授賞も可能としました。その趣旨は、若手への研究奨励という従来の方針を維持しつつ、若手以外の研究者によるポスターにも授賞することも考慮するものです。

2024年度日本行政学会研究会(2024年5月18日~5月19日、学習院大学で開催)におけるポスター報告を対象とした日本行政学会研究奨励賞(ポスター部門)(以下「ポスター賞」という。)について、6名の審査委員による審査が行われました。主題の明晰さと新しさ、研究手法の適切さ、研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクトに加え、その他ポスター賞の趣旨・目的に照らして評価すべきと審査委員会が認める基準を審査の観点としました。これらの観点に基づき、ポスターセッション本来の趣旨から、参加者との議論を踏まえて報告者が今後の研究を発展させる可能性も勘案して総合的に審査を行いました。限られた時間で審査を行うために、事前にポスター内容に対して一次審査を行い、一次審査で採択されたポスターについて、ポスターセッション当日の報告及び応答の仕方を加味して総合的に二次審査を行いました。

今年度は、角正美会員(大阪大学大学院)、松谷昇蔵会員(東京大学・日本学術振興会特別研究員PD)に賞を授与することとしました(五十音順)。

角会員の報告「地方政府における財政行動のパターン分析―「ベイルアウト期待行動理論」再考―」は、地方政府の財政行動とそのバリエーションをもたらす要因を実証的に分析し、「ベイルアウト期待行動理論」の射程を再検討したものです。日本の712市の10年間にわたる長期的な財政行動を定量的に分析した結果、「ベイルアウト期待行動理論」では想定されていない「自衛型」が実は多い点が明らかにされた点は秀逸であり、学術的にも貢献度の高い研究内容が示されていた点が評価されました。また、分析結果の見せ方もうまく、ポスター報告であることを生かしたビジュアル面と的確・簡潔な記述がなされており、質疑応答のやりとりも明快であった点が評価されました。

松谷会員の報告「戦前期文部省の人事システム―文官高等試験下の疑似生え抜き官僚を中心に―」は、「戦前文部省は内務省に支配されていた」という通説はミスリーディングであることを人事データ等から実証的に明らかにしたものです。人事データを独自に作成するとともに、回顧録等を用いて通説を批判的に検討し、文部省が「疑似生え抜き官僚」(大卒5年以内に府県から文部省に入省した者)で占められていたことを示した点が評価されました。また、職員を送り出した内務省の人事に関する研究や戦後の文部行政研究への展開可能性をもつ点、発表当日のプレゼンテーションの内容は明快であり、聴衆との意見交換も適切に行われていた点が評価されました。

ポスターセッションは、公募による分科会での報告とは異なり、柔軟な形での研究発表の機会を提供しており、今後の研究の発展可能性について多様な討議が行われることにより、学会のさらなる発展が期待されています。来年度以降も、多数の公募によって、学会での研究交流が一層進むことを審査委員一同願っています。

日本行政学会研究奨励賞(ポスター部門)審査委員
牛山 久仁彦(明治大学)
太田 響子(愛媛大学)
工藤 裕子(中央大学)
嶋田 暁文(九州大学)
松並 潤(神戸大学)
森 道哉(立命館大学)

2023年度 研究奨励賞

論文部門

須川忠輝(三重大学)「明治地方自治制の特例地域における地方制度の設計—日本統治下の南樺太を中心に―」

2023年度日本行政学会研究会(2023年5月13日~5月14日、立命館大学大阪いばらきキャンパスで開催)における日本行政学会研究奨励賞(論文部門)について、須川忠輝会員(三重大学)に授与することといたしました。分科会での報告論文について、主題の明晰さと新しさ、研究手法の適切さ、研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクトの観点から厳正に審査しました。

須川会員の報告「明治地方自治制の特例地域における地方制度の設計—日本統治下の南樺太を中心に―」は、先行研究では十分に検討されていなかった特例地域における地方制度の導入や運用実態について、南樺太を対象に分析したものです。国の行政機関であり官治の象徴ともいえる樺太庁が地方自治の拡充を積極的に推し進めたことや、明治地方自治制の下では各特例地域の環境や実情に応じた自由度の高い地方制度の設計が行われていたことを明らかにした点は、本報告の主題の明晰さと新しさを示しており、当時の議事録や記事を丹念に追う研究手法も適切であって、内地制度との比較等、研究テーマの発展性という視点からも学会賞に値すると評価されました。

ポスター部門

中澤柊子(東京大学)「日本における里親ケア割合の低さに対する社会的養護体制の日米比較歴史分析」
吉田隆紘(京都大学大学院)「行政組織における業務の測定—特許庁を題材として―」

日本行政学会では、2020年度研究会より、若手研究者の研究を奨励するため、学会奨励賞を創設し、2021年度研究会において初めてポスター部門での研究奨励賞を授与しました。2021年度までは一部門での授賞を原則として一人としていましたが、2022年度研究会では、授賞対象の条件に若手であることを外し、複数授賞も可能としました。その趣旨は、若手への研究奨励という従来の方針を維持しつつ、若手以外の研究者によるポスターにも授賞することも考慮するものです。

2023年度日本行政学会研究会(2023年5月13日~5月14日、立命館大学大阪いばらきキャンパスで開催)におけるポスター報告を対象とした日本行政学会研究奨励賞(ポスター部門)(以下「ポスター賞」という。)について、6名の審査委員による審査が行われました。主題の明晰さと新しさ、研究手法の適切さ、研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクトに加え、その他ポスター賞の趣旨・目的に照らして評価すべきと審査委員会が認める基準を審査の観点としました。これらの観点に基づき、ポスターセッション本来の趣旨から、参加者との議論を踏まえて報告者が今後の研究を発展させる可能性も勘案して総合的に審査を行いました。限られた時間で審査を行うために、事前にポスター内容に対して一次審査を行い、一次審査で採択されたポスターについて、ポスターセッション当日の報告及び応答の仕方を加味して総合的に二次審査を行いました。

今年度は、中澤柊子会員(東京大学)、吉田隆紘会員(京都大学大学院)に賞を授与することとしました(五十音順)。

中澤会員の報告「日本における里親ケア割合の低さに対する社会的養護体制の日米比較歴史分析」は、日本における里親ケアの割合の低さの要因を、経路分岐の観点からアメリカと長期的に比較することによって分析したものです。リサーチクエスチョンが明確であり、民間施設のグレーゾーン組織化や里親業のボランティア化という日本の社会的養護の特徴について、アメリカとの歴史的比較によって丁寧に論証している点が評価されました。また、プレゼンテーションが趣旨明快で、アメリカ以外の諸国にも研究の射程を広げていることが確認でき、研究の発展可能性を感じ取ることができる点が評価されました。

吉田会員の報告「行政組織における業務の測定—特許庁を題材として―」は、特許庁の特許審査官の業務を素材として、行政官個人単位の能力の測定を行ったものです。本報告は、行政官個人の職務能力を定量的に測定するという主題に新規性が見られること、膨大なデータを用いて特許審査官の業務量とそのパターンを測定することに成功していることから、行政学の実証研究の発展に対する貢献が認められる点が評価されました。また、ポスターが視覚的にもわかりやすく構成されている点も評価されました。

ポスターセッションは、公募による分科会での報告とは異なり、柔軟な形での研究発表の機会を提供しており、今後の研究の発展可能性について多様な討議が行われることにより、学会のさらなる発展が期待されています。来年度以降も、多数の公募によって、学会での研究交流が一層進むことを審査委員一同願っています。

日本行政学会研究奨励賞(ポスター部門)審査委員
稲生 信男(早稲田大学)
入江 容子(同志社大学)
辻 琢也(一橋大学)
西岡 晋(東北大学)
松井 望(東京都立大学)
山崎 幹根(北海道大学)

2022年度 研究奨励賞

論文部門

戸川和成(千葉商科大学)「ソーシャル・キャピタルの世代間継承は都市ガバナンスのQOLを改善させるのか」

2022年度日本行政学会研究会(2022年5月21日~5月22日、オンラインで開催)における日本行政学会研究奨励賞(論文部門)について、戸川和成会員(千葉商科大学)に授与することといたしました。分科会での報告論文について、主題の明晰さと新しさ、研究手法の適切さ、研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクトの観点から厳正に審査しました。

戸川会員の報告「ソーシャル・キャピタルの世代間継承は都市ガバナンスのQOLを改善させるのか」は、アンケート調査データ(量的データ)とヒアリング調査データ(質的データ)を用いた混合研究法によって、社会資本の世代間継承と都市ガバナンス(政策の質)との関係を実証的に分析したものです。量的分析を質的分析によって補完しているという実証分析における手法選択の的確さと地方自治体研究における研究テーマの発展性という視点から学会賞に値すると評価されました。

ポスター部門

役重眞喜子(岩手県立大学)「自治体職員の職務の『質』をめぐる課題―ブルシット・ジョブの実態に着目して―」
神﨑史恵(中央大学大学院)「持続可能な産業遺産活用のためのネットワークガバナンスの発展要件―近代化産業地における鉄道遺産活用事例の分析―」
吐合大祐((公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構)「地域政策と地方自治―政策決定を巡る知事と議会の調和と対立―」

日本行政学会では、2020年度研究会より、若手研究者の研究を奨励するため、学会奨励賞を創設し、2021年度研究会において初めてポスター部門での研究奨励賞を授与しました。2021年度までは一部門での授賞を原則として一人としていましたが、2022年度研究大会では、授賞対象の条件に若手であることを外し、複数授賞も可能としました。その趣旨は、若手への研究奨励という従来の方針を維持しつつ、若手以外の研究者によるポスターにも授賞することも考慮するものです。

2022年度日本行政学会研究会(2022年5月21日~5月22日、オンラインで開催)におけるポスター報告を対象とした日本行政学会研究奨励賞(ポスター部門)について、企画委員長を含む7名の審査委員による審査が行われました。主題の明晰さと新しさ、研究手法の適切さ、研究結果の新しさおよび学術的・社会的インパクトを審査の観点としました。特に若手の報告者に対しては、ポスターセッション本来の趣旨から、参加者との議論を踏まえて報告者が今後の研究を発展させるであろう可能性も勘案して総合的に審査しています。限られた時間で審査を行うために、事前にポスター内容に対して一次審査を行い、一次審査で採択されたポスターについて、ポスターセッション当日の報告及び応答の仕方を加味して総合的に二次審査を行いました。

今年度は、役重眞喜子会員(岩手県立大学)、神﨑史恵会員(中央大学大学院)、吐合大祐会員((公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構)に賞を授与することとしました。

役重会員の報告「自治体職員の職務の『質』をめぐる課題―ブルシット・ジョブの実態に着目して―」は、基礎自治体におけるブルシット・ジョブの実態を把握し、自治体業務や住民との関係、職員の働く意欲等に対する影響を分析したものです。ポスターの完成度、報告・質疑応答、Remoを用いた効果的なプレゼンテーションが総合的に高く評価されました。

さらに従来からの若手奨励の趣旨に照らして神﨑会員・吐合会員には以下の理由で賞を授与することとしました。

神﨑会員の報告「持続可能な産業遺産活用のためのネットワークガバナンスの発展要件―近代化産業地における鉄道遺産活用事例の分析―」は、ネットワーク組織を持続的かつ発展的に機能発揮させることができるガバナンスはいかにして構築されうるのかについて分析したものです。報告および応答の仕方については今後の工夫が望まれるものの、ポスターの完成度が高く評価されました。

吐合会員の報告「地域政策と地方自治―政策決定を巡る知事と議会の調和と対立―」は、首長・議会それぞれの政策関心を実証分析によって解明するとともに、両者の政策選好が自治体の政策形成に及ぼす影響を分析したものです。分析に今後さらなる多角的な視点が望まれるものの、セッション当日の報告・質疑応答の内容が高く評価されました。

ポスターセッションは、公募による分科会での報告とは異なり、柔軟な形での研究発表の機会を提供しており、今後の研究の発展可能性について多様な討議が行われることにより、学会のさらなる発展が期待されています。発足間もない学会奨励賞としても、さらに充実した体制で審査できるよう来年度へ引き継ぎを行います。来年度以降も、若手研究者はもちろんのこと、若手以外の研究者による多数の公募によって、学会での研究交流が一層進むことを審査委員一同願っています。

日本行政学会研究奨励賞(ポスター部門)審査委員
青木 栄一(東北大学)
嶋田 暁文(九州大学)
清水 唯一朗(慶應義塾大学)
築島 尚(岡山大学)
德久 恭子(立命館大学)
藤田 由紀子(学習院大学)
牧原 出(東京大学)

2021年度 研究奨励賞

論文部門

飯塚俊太郎(メルボルン大学大学院)「日本におけるエージェンシー化の実態と帰結 」

飯塚会員の報告「日本におけるエージェンシー化の実態と帰結 」は、サーベイ調査を用いて、日本の独立行政法人の運営実態について、独立性と自律性の観点から実証的に分析したものです。既発表の研究との重なりはあるものの、日本の独立行政法人について、国際的なエージェンシー化研究の中に位置づけ、国際比較を含む分析を行った点が評価されました。

ポスター部門

池田峻(津田塾大学)「行政組織の制度的独立性」

池田会員の報告「行政組織の制度的独立性」は、行政組織の制度的な独立性を複数の制度変数から推定し、そのスコアが多様な行政組織によってどのように異なるのか、いかなる制度変数が行政組織の独立性に寄与するのかを分析したものです。なお、ポスターセッションにおける説明やRemoを用いた効果的なプレゼンテーションも高く評価されました。

2021年7月

2020年度 研究奨励賞

論文部門

竹中勇貴(京都大学大学院)「日本の都道府県における議案形成過程の集権化と執政-議会関係」

ポスター部門

ポスター部門については,学会ウェブサイト上での開催への変更に伴い,公平かつ十分な審査が難しいため,今年度は審査を行いませんでした。

2020年7月

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