理事長挨拶

日本行政学会 理事長
北山俊哉

 2020年から2022年において、理事長を務めさせていただくことになりました北山です。理事長就任にあたり、一言ご挨拶させていただきます。

 日本行政学会は1950年11月に創設され、創立70周年の記念すべき年を迎えました。数多くある学会の中でも長い歴史を有するものと言えます。しかしながら、この記念すべき年に行われた総会・研究会は、学会ウェブサイト上で開催という、いまだかってない形態で行われました。今まで当たり前だと思っていたことが、ほんの短期間のうちでそうではなくなることを、日本国民のみならず、文字通りに全世界の人々が感じています。ポスト・コロナの時代に、われわれの研究対象である行政はどのような役割を果たしていたのか、果たしているのか、果たすべきなのか、もう一度、虚心坦懐に問う必要があるでしょう。もちろん、コロナ以前からの政治・行政の巨大な変動も忘れることがあってはなりません。

 日本行政学会の大きな特徴のひとつに、研究者と実務家がともに参画する形での学会運営を行ってきたことがあります。近年では、さまざまなレベルで社会連携推進がキーワードとなっていますが、学会発足当初からそのような運営を行ってきたのは大きな特徴であると言えるでしょう。行政の現実の課題を理論的に考察するとともに、そのような課題に対して様々な研究を通して示唆を提供するということが、今後ますます必要とされます。理論的に興味深い研究、社会的に重要な研究、この両者がともに重要であり、それがお互いに影響を与え、相乗効果を持つことを望まないわけにはいきません。学会の会員が自らの研究成果や着目する現象の記述を持ち寄り、密に議論を行うことによって、このことは成し遂げられるでしょう。

 このためには、隣接分野との交流をさらに充実させること、そして国際交流をより推進することも重要な方法です。特にアジア諸国においても、様々な行政研究が積み重ねられつつあり、これらの諸国との交流はこれまでも行われてきましたが、今後もさらに有用です。世界における日本のプレゼンスが低下する中、日本を対象とした調査研究もまた比重を低下させているように思われます。であるならば余計に、日本を比較の観点からとらえ直すことが、理論的にも実践的にも重要な課題となりえます。

 学会としては、どのようにして研究成果の共有のための制度・場を構築し、若手を養成していくのかが問われます。それをポスト・コロナの新しい日常の中で、柔軟な発想で考える必要があります。先ほど、密に議論を行うと申し上げましたが、どのように密に行うのか自体を考えなければならないのがこの時代の課題です。

 会員の皆様におかれましても、より積極的にご参加いただき、研究コミュニティの活性化のために知恵を出し合い、ご協力いただくことを切にお願いする次第です。何卒、宜しくお願い申し上げます。

2020年7月

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